復讐の女神の涙
◇第1話:傷付いたガラスの心
市立ひなぎく中学
ここに恋多き少女がいた。
その名は鏡魅羅、中学2年生。彼女は川のほとりのボロボロの借家に、母親と弟6人の8人で住んでいる。
父親は重い病の為に入院しており、母親は7人姉弟を養うために仕事尽くめの毎日だった。
年長者である魅羅は、母親を少しでも助けようと家事を手伝う。
常時家事や弟達の世話に追われる彼女は、心の拠り所として素敵な男性が欲しいのだった。
ただ、少し面食いな所があり、付き合いたいと思う男子はハンサムばかりだった。
魅羅はまた男子に告白し振られていた。
男子A「悪いけど君とは付き合えないな。」
魅羅「どうして?」
男子A「まだそんな気がしないんだ。」
魅羅「そう...。」
何度も振られている魅羅だが、それに慣れる事などなく、更に心の傷を増やしていた。
タダでさえ傷付きやすい彼女、その心が更にズタズタになる事件が起きた。
魅羅を振った男子は、その話しを笑いながら友人達に話をする。
魅羅はそれを聞く事になったのだ。
男子A「なんか鏡って、貧乏臭いと思わねーか? 持ってる物って、100円ショップで売ってるような奴ばっかだし。
男子B「ああ、この前100円ショップにいたぜ。レジでお金足りなくて商品戻してたぜ。」
男子A「俺、告白されちゃった。」
男子C「ひゃはははは! 断ったんだろうな。」
男子A「当たり前だろ? 誰があんなダセー奴と付き合うかよ。」
男子B「あいつ、高原にも告白してたって話だぜ。1回だけデートしたらしいけど、弟がついて来てて、メチャクチャだってよ。」
男子C「ぎゃははははは!」
男子D「それより鏡の家を知ってるか? ボロボロだぜ。あいつんち、貧乏なんだな。」
男子A「そうか、貧乏臭いデートも嫌だし、デートの度に奢らされるのも困るし、断って正解だったよ。」
振られただけでも傷付いた彼女だが、彼らの冷淡な言葉はそれを通り越し、憎悪の感情までも抱かせるのだった。」

そんな時、彼女の父親は他界した。
悲しみに暮れたまま、2年生の夏休みが始まった。
一方、河川事業の為、彼女の住む借家は取り壊される事になる。彼女達は別の街にある木造の安アパートに移り住む事となった。


◇第2話:翠玉{すいぎょく}の麗人
魅羅は新しい街に来ていた。デパート街も以前より近くなり、鏡家に1台だけある古臭い自転車を使えば気軽に来れる場所だ。家にクーラーのない魅羅は、時間を見つけてはデパートをうろつくのだった。
魅羅はデパートのコスメティック街を徘徊する。
魅羅「この街で同じ事を繰り返すわけにはいかない…。私は生まれ変わるの、綺麗になってやるの…。」
高級な化粧品のエリアに足を踏み入れていた。
魅羅「私もこんな化粧品を使えばきっと…。」
しかし値段を見て驚く彼女。
魅羅「…とても買えないわ。」
店内の広告が目に入る。
魅羅「ピンクのリップはスウィートマジック…。値段は予算オーバーだけど…買わなければ何も始まらない…。」
魅羅はなんとか工面したお金でリップを買う。
店員「1680円でございます。」
店員は商品の他、1枚の券をくれた。
店員「この券5枚で1回、ビューティ・ルーレットのチャンスがあります。」
1000円ごとにビューティ・ルーレットの補助券が貰えるようだ。
ビューティ・ルーレットとは福引のような物で、1等から6等までの賞品が貰える。
魅羅(…5000円も必要ね。)
ドン
立ち去ろうとする魅羅に、緑のボディコンスーツの女・碧{みどり}がぶつかる。ボディコンスーツといっても、胸に飾られた大きなエメラルドが緑色に煌いている為、高貴な印象をも与える。
碧「あら、ごめんなさい。
その女は身長が170はあるだろうか。魅羅の身長は160を突破し背は高い方だが、その女の迫力には圧倒された。碧の上から下までを見た魅羅は、自分とは明らかに異なるオーラを持つ碧から目を離せない。
魅羅(この人、スタイルが良くて綺麗で…。私もこんなに綺麗だったら振られる事もないはず…。)
魅羅は立ち去ろうとせず、少し離れた場所から碧に見取れる。
碧は自分が買おうとしている化粧品を店員に差し出す。
店員「4980円でございます。」
店員は福引券を4枚出した。
店員「この券5枚で、ルーレットのチャンスがあります。1000円ごとに発行しております。」
碧「4980円なら5枚出しても良いんじゃないかしら?」
店員「申し訳ありません…。どこかで区切りをつけないと。」
碧「なによ、ケチ臭いわね。」
魅羅「くすくす…。」
魅羅は思わず笑ってしまった。
碧はやや恐い表情で魅羅に近付く。
碧「貴女も1枚あったはずね? 私の4枚と合わせてルーレットするのはどうお?」
魅羅「はい、でも当たった時は?」
碧「6等のシルクタッチティッシュが当たった場合は貴女に上げるわ。それで鼻でも噛みなさい。」
魅羅はムッとしたが、キラキラ妖しく輝く碧の姿を見ると許せる気がした。
魅羅「1等はルビーの宝石…。」
魅羅は紅く輝くルビーに魅了される。
魅羅「とにかくやってみます。」
魅羅はルーレットを行った。
店員「おめでとうございます。2等が当たりました。ビューティーセット3ヶ月分です。」
紅く輝く宝石は逃したものの、魅羅は喜んだ。
碧「あら、運が悪そうな顔をしてる割りには上出来ね。まあ、私と話せる事は幸運なのだから、顔に似合わず運がいいようね。おーほっほっほ。」
魅羅はセットを受け取る。
店員「10万円相当の品ですよ。良かったですね。」
魅羅「これで綺麗になれるかしら…。」
碧「あら、貴女、綺麗になりたいの? 確かにかなり改良する部分があちこちにあるみたいだけど。」
魅羅「私、綺麗になりたい! どうしたら、そんなに綺麗になれるんですか?!」
碧「私の美しさは女の子まで魅了してしまうようね。気に入ったわ。ついてらっしゃい。」
魅羅は碧に誘われて、高級感のある喫茶店に入っていた。
魅羅「あの、私…お金が…。」
碧「私の奢りよ。いい女になりたかったら、常に相手に奢らせるつもりでいる事よ。」
魅羅と碧は席に座った。
魅羅はソワソワして落ちつかない。
碧「そうだわ、名乗ってなかったわね。」
碧は名刺を出した。
魅羅「翠玉碧…ごめんなさい、ぎょくしか漢字を読めません。」
碧「すいぎょくみどり。ギョクをタマって呼ばなかった事は、いい女にあるべき状況ね。…あらやだわ、タマだなんて、おーほっほっほっ。」
魅羅「私は鏡魅羅っていいます。」
碧「魅羅ね。高校生かしら?」
魅羅「いえ、中学生です。」
碧「ふふん、中学生にしては背も胸もあるのね。素質はいいかも知れないわ。」
魅羅「碧さん、どうしてそんなに綺麗なんですか?」
碧「おーっほほほほ、私はモデルよ。綺麗でスタイルが良くて男が平伏すのは当然なの。」
魅羅「…そうだ、当たった化粧品を分けないといけないですね。」
碧「私は別の奴を愛用しているから、その化粧品は使わないわよ。全部貴女が使うといいわ。」
魅羅「ありがとう…。」
碧「いい女は心に余裕がなくてはいけないの。」
魅羅「でも使い方が…。」
碧「私が色々と教えて上げるわ。私の携帯電話番号は…。」
魅羅は碧の携帯電話番号を聞いた。
碧「魅羅の番号は?」
魅羅「私…持ってません。」
碧「ふふん、確かにいい女が携帯を持っていたら、鳴りっ放しでうざいわね。」
魅羅は自宅の番号を教えた。
碧「それじゃ魅羅、何かあったら私に電話するのね。」
こうして魅羅と碧の付き合いが始まった。


◇第3話:生まれ変わった妖精
きらめき市立・華丘中学
2学期になったこの学校に、生まれ変わった魅羅がいた。
碧によって既にファッションの基本を叩き込まれているので、その見栄えは多くの男子を魅了する。
先生「今日は転校生を紹介します。鏡魅羅さんです。」
男子A「おー!」
男子B「カワイー!」
魅羅は男子の目が今までと明らかに違う事を感じた。
休み時間に、魅羅は女子に囲まれる。
女子「学校を案内してあげるよっ。」
あくまでここは中学校、いかに綺麗な女の子がいるとはいえ、積極的にアタックする男子はそうそういない。
クラスの男子も、遠目に魅羅を見るだけであった。

ある日の下校時、鏡魅羅という新しいシールの貼られた下駄箱には、2通の手紙が入っていた。
魅羅「ふ、不幸の手紙かしら…前の学校でも何回かあったの。郵便代もバカにならないんだから…。」
不幸の手紙を出す事を決めた魅羅は、手紙を鞄の中に入れると足早に学校を出る。
女子「あっ、鏡さんもこっちなの? 途中まで、一緒に帰りましょ。」
魅羅「ご、ごめんなさい、急いでるの。」
女子の誘いを断り、魅羅は小さな公園にいた。
魅羅は先程発見した手紙を開ける。
それらには下手な文章にせよ、魅羅と付き合いたい事などが綴られていた。
魅羅「…男子は私の仕返しの対象でしかない。こんな物!」
青い気持ちの篭もったラブレターを、魅羅はゴミ箱に捨てた。

ある日
ラブレターを出した、園村隆史という男子が魅羅に話し掛ける。
隆史「鏡さん、手紙読んでくれました?」
魅羅「ええ、だけど付き合う気はなくてよ。」
隆史「やっぱダメか…。友達でもダメですか?」
魅羅「しつこいわね。」
隆史「こ、ごめんなさい。」
そこに先生が話し掛ける。
先生「鏡さん、教科書などが届いたから、職員室に取りに来なさい。」
魅羅「あっ、はい。」
魅羅が教科書を取りに職員室へ向かうと、隆史もついてくる。
魅羅はスタスタと歩き出す。
職員室には魅羅の教科書が積まれてる。
魅羅「あら…こんなにあるのね。」
隆史「鏡さん、僕が持つよ。」
隆史は魅羅の教科書の半分以上を持った。
魅羅「…どうせなら、全部持ちなさい。」
魅羅は残りの教科書を、隆史の持った教科書の上に積んだ。
ドサッ
隆史「ごめん。始めから全部持てば良かったね。」
魅羅の機嫌を損ねたと思って取り直す男子の顔は、魅羅の感情を動かす。
彼女はこれまでに味わった事のない快感を覚えていた。

それからというもの、隆史は魅羅のいう事をハイハイ聞く存在となった。


◇第4話:遠足
魅羅の下駄箱には幾度ともなくラブレターが入っていた。しかし魅羅は、それらに目を通した後、必ず帰り道の公園のゴミ箱に捨てるのだった。

華丘中学の遠足の日がやってきた。
海岸沿いにある公園風の施設が遠足の場所で、花壇や果樹園がその施設の売りである。

施設の道に佇んでいる魅羅に男子が話し掛けて来る。それなりの容姿を持ち、スポーツが得意で女生徒の人気もある徳田真一である。
真一「鏡さん、いつも手紙を出してるんだけど、どうして返事くれないの?」
魅羅「ふふん…。」
魅羅は真一の顔は見ず、髪を触るだけだ。
隆史が現れる。
隆史「鏡さん、マスクメロンのキーホルダーを買って来ました。」
既に魅羅の言い成りとなっている隆史は、キーホルダーを魅羅に差し出す。もちろん彼のお金である。
魅羅「あら、そんな物どうしろと言うの?」
隆史「えっ、鏡さんはメロンが好きだって聞いたから…。」
魅羅「ほーほっほっほ、冗談にしては面白くないわね。」
真一「鏡さん…園村と付き合ってるのか?」
魅羅「あーら、付き合っているように見えて? 園村君は単に、私の欲しい物を買いに行かせてあげているだけよ。」
同じく遠足に来た他のクラスの者も魅羅を知っていて、仲良くなろうと3人組みの男子が魅羅に寄って来る。
男子1「鏡さん、俺達と一緒に遊ばないか?」
魅羅「構わなくてよ。」
男子2「なくてよ、だってさ。くー、痺れる。」
男子3「鏡さんは何の果物が好きなの?」
魅羅「そうね、メロンがいいかしら。」
男子2「メロン園へ行こうよ。メロン食べ放題だよ。」
魅羅「よろしくてよ。」
男子4人に囲まれた魅羅はメロン園へ向かう。
真一もそれを追った。
メロン園の入園料は、施設入場料とは別に1500円掛かる。
男子3「鏡さん、お金は俺が出すよ。」
魅羅「そうね、あなたが誘ったのだから当然ね。」
隆史にはお金があったが、真一にはお金がなかった。
魅羅はメロン園内でメロンを口にする。
彼女の品のいい食べ方は、男子生徒の心を刺激する。
魅羅(碧さんに食べ方とかを教わっておいて良かったわ。ちなみに碧さんはひど過ぎて反面教師よ。)
魅羅は人に見られる事に慣れて来たとはいえ、食べている所をマジマジと見られるのはやや緊張した。
その頃、真一はメロン園の外から魅羅を目にするだけだった。
真一「鏡さんはモテるんだな…よしっ、俺はもっと自分を磨いて鏡さんを振り向かせて見せる!」


◇第5話:11月15日・14歳
11月15日は魅羅の誕生日である。
この頃には、魅羅は10人以上の男子に囲まれていた。一方、友達と言える女生徒はおらず、魅羅の友達は碧だけであった。
魅羅は男子達からプレゼントを受け取る。
魅羅「ふふん、貰ってあげても宜しくてよ。」
男子1「はい、貰ってあげてください。」
男子2「鏡さん、プレゼントです。純銀の指輪です。」
魅羅「あらっ、なかなかじゃない。」
純銀の指輪には数千円の代物もあり、中学生の男子でも買う事が可能である。
魅羅の鞄は、ガラクタから純銀の指輪まで色々と詰まっている。
魅羅(プレゼントなんて邪魔になるだけね…これからはプレゼントは要らないと言わなくちゃ。
男子3「鏡さんの誕生会を開こうと思うんだけど、来てくれるかな?」
魅羅「それは困るわね。(家事が溜まっちゃってるのよ…。)」
男子3「残念だなぁ…。」
魅羅「私を誘いたければ、前もって連絡する事ね。」
男子3「はい、鏡さん。」
下校時
魅羅は男子に囲まれ下校する。
真っ黒のスポーツカーが校門近くに停まっており、中にはサングラスを掛けた女がいる。
魅羅「碧さん…。」
男子1「おおっ…美人!」
男子2「すげー!」
碧「あーら、可愛い坊や達。私に見とれてしまっては、魅羅が怒るわよ、おーっほっほっほ。」
魅羅「ふん、私から目を逸らすなんて、いい度胸ね。」
男子3「済みません…鏡さんの方が綺麗です。」
碧「魅羅、送ってあげるわ。」
魅羅は黒いスポーツカーに乗り込む。
魅羅「それじゃ、みんな、明日まで私の顔が見られないでしょうけど、我慢なさい。」
碧「ごきげんよう、坊や達。」
男子「鏡さん、さようならー。」
スポーツカーは強い加速で発進した。
碧「魅羅、今日は貴女の誕生日だったわね。その包みを取りなさい。」
魅羅「これはルビー…。」
碧「私が男に貰った物だけど、私にはエメラルドしか似合わないから上げるわ。」
魅羅「ありがとう、碧さん。」
碧「おほほ、明日から学校に付けていくといいわ。坊や達に大人の輝きを教えてあげなさい。」

次の日、魅羅は胸元にルビーを着けて登校していた。紅く輝く宝石は魅羅のスタイルを一層際立てていた。
男子1「げー、あの宝石プレゼントしたの誰だよ…。」
男子2「くー、俺の純銀の指輪が負けた…。来年までに小遣い貯めるぞ。」
ルビーを見せびらかした魅羅だが、先生に取り上げられた事は言うまでもない。


◇第6話:スキーはお好き?
冬のある日、魅羅は碧と喫茶店で会っていた。
真紅に輝くルビーを着けた魅羅、エメラルドを3つも着けた碧は、周りの者の目を長く奪った。
碧「魅羅はスキーできる?」
魅羅「スキーなんてお金がかかる事は…。」
碧「おーほっほっほ、訊くまでもなかったわね。じゃあ、スキーをしに行くわよ。」
魅羅「でも、私滑れないし…。」
碧「あのね、初めは誰も滑れやしないわ。いい女がスキーも出来ないなんて話にならないわ。」
魅羅「いい女には必要なのね…。」
碧「また男どもは私のしもべね。おーほっほっほ!」

スキー場には赤のスキーウェアの少女と、碧のスキーウェアの女性がいる。
碧「初心者コースに行くわよ。」
碧の指導により、元々運動神経の悪くない魅羅は滑れるようになった。
魅羅「私って素質あるのね。」
碧「あーら、中途半端に生意気なその台詞は、かえって反感を買いやすいわ。この前会ったんだけど、中学生くらいのカチューシャをした赤毛の女の子が超生意気だったのよ。いい女ならもっと工夫しなさい。」
魅羅「工夫?」
碧「こんな感じよ。私の指導を受けたのだから滑れるようになって当然よ。おーほっほっほ!」
魅羅「私ならスキーができて当然ね。ほーっほほほほ!」
碧「休憩してお昼を食べたら、中級者コースへ行くわよ。」
魅羅「大丈夫かしら?」
碧「基本は教えたはずよ。停まらなくなったら、近くの男に助けを求めなさい。もちろん、不細工かどうか確かめてからにするのよ。」
魅羅「停まらなくなっている時に、そんな余裕はないんじゃないかしら?」
碧「おーほっほっほ、いい女は冗談もうまくないといけないのよ。」

中級者コースには徳田真一が来ていた。
真一「鏡さん! 鏡さんもスキーに来るんだね!」
魅羅「あら、当然じゃない。」
真一「どれくらい滑れるの?」
魅羅「そうね。雪がある所なら滑れるんじゃないかしら。」
その頃、碧はハンサム・ガイにナンパされていた。
真一「鏡さんの滑る所見たいぜっ。」
魅羅「見てらっしゃい。」
魅羅は格好をつけて滑り出す。真一はその後からついて行く。
中級者コースというのもあり、魅羅のスピードは思ったよりもどんどん上がる。
魅羅「と、止めてー!」
真一「鏡さん、スキー板をハの字にするんだ!」
魅羅「そ、そうだったわねっ。」
魅羅のスピードは落ち、止まる事ができた。
真一「大丈夫?鏡さん。」
魅羅「あーら、勘違いしないで。あなたをいい気分にさせてあげただけよ。私に助言できて嬉しかったでしょ?」
真一「流石は鏡さん。でも鏡さんに何かあったら凄く悲しくなる所だった。」
魅羅「当然ね。」
魅羅はこうして真一とスキーを楽しんだ。


◇第7話:男子に囲まれデート
3学期
隆史が取り巻いている魅羅に真一が近付く。
真一「鏡さん、この前のスキー楽しかったね。
魅羅「この私にスキーを一緒に滑らせてもらえば、楽しいのは当然ね。
隆史「僕も鏡さんとスキーしたい!
魅羅「あーら、滑れるの?
隆史「ソリなら。
魅羅「…冗談の勉強をしないと、もう私の前で喋らせなくてよっ。
隆史「ごめんなさい、鏡さん。
真一「3学期か…来年は受験だね。
魅羅「…受験。
隆史「その前に一緒にどこかへ遊びに行こうよ。
魅羅「あーら、デートのお誘いかしら?
隆史「僕も行くっ。
真一「お前は来るなっ。

当日
デートの待ち合わせ場所には8人の男子がいた。
ルビーを首に着けた魅羅は驚く。
魅羅「あっ、あら、どうしてこんなにたくさんいるのかしら?
真一が現れた。
真一「お前ら…。
男子1「徳田! 抜け駆けは許さんぞ。
男子2「鏡さんを独占しようなんて、甘い甘い。
男子3「僕の情報網に掛かれば、鏡さんの情報はなんでもゲットだ。バストは87に…。
男子4「おおっ!
バコッ
他の男子に殴られた。
男子5「お前知り過ぎだっ。
魅羅「私のバストの大きさが気になるのは当然だけど、喧嘩は宜しくなくてよ。
隆史「こんなに集まってどうしましょ、鏡さん。
魅羅「私の美しさに惹かれ集まったものは仕方ないから、みんな私についてらっしゃい。
男子達「はい、鏡さんっ。
一行はデパート街を歩く。
魅羅はウィンドゥショッピングを楽しむ。
魅羅「あら、この服いいわね。
男子6「鏡さんにピッタリです!
10人の男に囲まれる魅羅は、満足げに澄ましながら歩いていた。
前方にふと、知った顔があった。
魅羅をボロボロに振った男子である。
目が合いそうになった魅羅は急に動揺し、顔を背ける。
魅羅を振った男子とその友達は、10人もの男子に囲まれる女子に驚いた様子で擦れ違い、去って行った。
魅羅「…あの男の子、何か言ってなかった?
男子7「スゲー可愛い女とか言ってました。
魅羅「そう、可愛いじゃなくて綺麗の間違いよ。きっとセンスないのね。
男子8「そうですよ、一目見たくらいじゃ鏡さんの良さは解りません。
魅羅「それは違うわね。一目見ただけで私の美しさは相手に焼きつくはずよ。
隆史「その通りです、鏡さん。
魅羅「ほーっほほほほ。


◇第8話:進路相談
魅羅も中学3年生、受験の年である。
魅羅「高校だけは絶対に行かなきゃ…でもそれにはまたお金が…。
家事に追われて勉強の時間もなく、あまり勉強の得意でない魅羅だが、最低限の成績はキープしていた。よって、成績よりもむしろ学費が心配であった。
魅羅「せめて公立に入らないといけないわね。

魅羅は進路相談を受けていた。
先生「鏡の成績だと、県立きらめき商業高校辺りが適当だ。
魅羅「はい、でもちょっと私の家から遠いです。できれば自転車で通える範囲にしたいと思います。
先生「ん?自転車? あっそうか、鏡の家は家計が大変だったな…。ならば、きらめき高校はどうだ?
魅羅「あそこは私立では? それに、きら商よりも遠いです。
先生「推薦奨学制度があってな、学費はもちろん、通学のバス代なども面倒を見てくれるそうだ。
魅羅「それはとてもいい話です。
先生「鏡は家庭科の成績がいつも5だし、美術と体育も4はある。そっち方面で推薦可能だ。鏡は容姿がいいから、印象も悪くないはずだ。
魅羅「お願いします。
先生「ただし、家庭科の5はもちろん、他の成績も3以上はキープして欲しい。きらめき高校は一流大学へ進学する者も多い名門だからな。
魅羅「分かりました。
先生「なーに、今までの成績をキープすればいいだけだ。もちろん、他の者も成績を上げようと頑張るから、それに追いつかれないようにはするんだぞ。

進路相談を終えた魅羅に男子が寄って来る。
男子「鏡さんの第一志望はどこですか?
魅羅「きらめき高校でしてよ。私の美貌なら受かったも同然ね。
男子「うわー、凄いっすね。僕もそこを目指して頑張ります。
魅羅「私と同じ学校になれるよう、頑張る事ね。

学年全員の進路相談の終わったある日
先生「何だか今年はきらめき高校に進学したいという男子生徒が多いようだ。このクラスも特に多い。まあ目標は高い方がいい。頑張れ。


◇第9話:水着
初夏のある日、魅羅の家の前に緑の軽自動車が停まった。
碧「魅羅、今日はデパートへ行って、水着を買うわよ。
エプロン姿で洗濯物を干し終えた魅羅が現れた。
魅羅「碧さん、ちょっと待って、今支度するから…。あらっ? あのスポーツ車は?
碧「あれはぶつけちゃったのよ。私の美しさに比例し過ぎて、加速も良過ぎたってわけね。おーほっほっほ。
魅羅「その車は買ったの?
碧「私の虜に買わせたに決まってるわ。流石にぶつけた次の日に高級車を買わせる事は不可能だったけど、これでも足には困らないわ。
魅羅は自分の部屋に行くと、身支度を始めた。
唇はルージュに彩られ、エプロン姿はチャーミングな姿に変身する。
魅羅「お待たせ、碧さん。

魅羅と碧はデパートの水着コーナーを徘徊する。
碧「魅羅、お金は私が出すから、いいと思う奴を選びなさい。
碧はハイレグコーナーを回っている。一方、魅羅はワンピースの可愛らしいコーナを回る。
碧「魅羅、ビキニにしなさい。
魅羅「ビキニ…。私はビキニなんて着た事ないから…。
碧「おほほ。と言うか、スクール水着だけでしょ?
魅羅は図星を突かれていた。
魅羅「ビキニの方が少しだけ安いのね。
碧「そりゃ、生地が少ないからね。
魅羅「ビキニって、おヘソが出るから…。
碧「出ベソじゃないなら大丈夫よ。魅羅には、これなんていいんじゃない? 
碧はハイレグで裸同然の水着を勧めてきた。
魅羅「ええっ!? それはちょっと…。
碧「おーほっほっほ、私が着ようかしら?
魅羅「…碧さん、いくらなんでもそれはやめておいた方が。
碧「そうね、いい女は肌の露出ではなく、着こなしで勝負できるものね。

続く